ピアノ担当 准教授(いのうえ ともこ)
担当授業
大学院:音楽表現の知識と技能I(鍵盤)、音楽教育の創意I(鍵盤)、アート・コミュニケーション演習
学 部:ピアノ演習I〜Ⅱ、初等音楽、音楽科教育法Ⅱ
最近の研究テーマ
最近の研究テーマは、総合的な表現教育です。
五感や、音楽・造形・身体・言葉といった多様な表現手段を横断的に用い、自己理解や他者理解の深化、コミュニケーション力・表現力の育成をめざしています。
芸術表現の原点は、自分の内にある感情や思いを外に表し、他者と分かち合おうとする衝動にあります。やがて表現手段は専門領域として分化され、学校教育でも教科ごとに扱われるようになりましたが、私はその原点に立ち返り、領域横断的な体験を通して、内面を映し出すことで生まれる自己理解の深まりや、共有を通じて生まれる他者と気持ちが通い合う感覚、そしてそこから得られる表現の充実感を大切にしたいと考えています。それらは、便利さとともに人間らしさが問われる時代において、今後ますます欠かせない力になると感じています。
ピアノ指導を通して・・・
学生が将来、音楽表現者や指導者として歩むとき、自ら楽譜を読み解き、感じたことをもとに音楽を表現する力、また他者の演奏や表現から気持ちや意図を受け取る感性を備えていてほしいと思い、指導にあたっています。
そのため、ピアノの授業はグループレッスンで行い、学生との対話を大切にしています。どんな音を出したいのか、今の音は心地よく響いていたか、演奏者の音はどのように聞こえたかなど、問いかけを重ねながら、学生が自分の耳と感覚を働かせ、納得のいく“自分の音”に出会えるよう一緒に理想の音を探究していきます。
一つひとつの音に耳と感覚を注ぎ、模索するこの過程こそが、表現を深め、やがてそれぞれが自らの道を歩んでいくために最も大切な時間だと思っています。
学生へのメッセージ
音を表現するときも、これから歩んでいく自分の人生においても、こんな音が出したい、こんなことがしてみたい、これができるようになりたい・・・たとえどんなに小さなことでも、思いや夢、目標を持つことがとても大切です。思いがあるからこそ、理想の姿に少しずつ近づいていくことができ、その思いを持ち続けるからこそ、やがて花が咲くときが訪れると思うからです。
みなさんの花が咲くその日につながるように、私は一人ひとりの学生に寄り添いながら、共に歩みを進めていけたらと思っています。